地方債の安全性

地方債の安全を守る仕組み(概観)

地方債の元利金は、以下の仕組みのもと確実に償還され、BIS規制の標準的な手法におけるリスクウェイトは0%とされています。

1 地方債の元利償還に対する国の財源保障

  • ■自らの課税権に基づいて地方税収入を確保
  • ■地方財政計画の歳出に公債費(地方債の元利償還金)を計上
  • ■公債費を含めた歳出総額と歳入総額が均衡するよう地方交付税の総額を確保
  • ■地方交付税の算定において、標準的な財政需要額(基準財政需要額)に地方債の元利償還金の一部を算入
  • → 地方債の元利償還に必要な財源を国が保障

 

2 早期是正措置としての起債許可制度

  • ■実質公債費比率が18%以上の地方公共団体に対する起債制限
  • ■赤字団体への起債制限
  • → 個々の地方公共団体が地方債の元利償還に支障を来さないよう、地方債の発行を事前に制限

 

3 「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の施行

  • ■財政指標の公表による情報開示の徹底
  • ■財政指標が早期健全化基準以上となった団体について自主的な改善努力に基づく財政健全化
  • ■財政指標が財政再生基準以上となった団体について国等が関与した財政再生

 

1)地方債の元利償還に対する国の財源保障

地方債の新規発行額及び元利償還金(公債費)の総額は、国が策定する地方財政計画の歳入及び歳出にそれぞれ計上し、この公債費を含めた地方財政計画の歳出を歳入と均衡させることにより、マクロベースでの財源保障を行います。

具体的には、国は、毎年度、地方財政計画の策定過程を通じて、地方の歳入、歳出がバランスするように地方財源の確保対策を講じますが、最終的には国から地方に交付する地方交付税の総額を確保することによりバランスをとり、これを法定化します。

そして、地方交付税の算定において標準的な財政需要額(基準財政需要額)に地方債の元利償還金の一部を算入することにより、個々の地方公共団体の地方債に対して元利償還金の財源を措置します。

なお、国は、このように策定された地方財政計画の歳入に計上された地方債の新規発行額をもとに地方債計画を策定します。

地方債の元利償還金の地方財政計画によるマクロベースでの財源保障

国の予算と地方財政計画との関係(平成21年度当初)

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地方債の元利償還金の地方交付税措置によるミクロベースでの財源保障

地方財政計画等と地方債計画との関係(平成21年度)

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地方財政計画とは?

地方交付税法第7条の規定に基づき、毎年度内閣が作成し、国会に提出するとともに一般に公表する計画であり、翌年度の地方公共団体(普通会計)における歳入歳出総額を見込むものです。

地方財政計画における主な歳入項目は、地方税・地方譲与税、地方交付税、国庫支出金及び地方債で、主な歳出項目は、給与関係経費、一般行政経費、投資的経費及び公債費です。このうち、歳入の地方債の額は、地方債計画における普通会計分の地方債の額と一致します。

地方交付税とは?

地方交付税は、本来地方の税収入とすべきであるが、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方公共団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」(地方の固有財源)です。

地方交付税の総額は、所得税、法人税、酒税、消費税の一定割合(注)並びに地方法人税の全額を基本にしつつ、地方財政計画における地方財政全体の標準的な歳入、歳出の見積もりに基づきマクロベースで毎年度決定されます。

(注)所得税・法人税の33.1%、消費税の22.3%、酒税の50%

地方債の協議制度について

平成17年度までは国又は都道府県の許可がなければ地方債を発行できませんでしたが、協議制度では、地方公共団体は原則として協議という手続きを経れば、国または都道府県の同意がなくても地方債を発行できることとなりました。

協議制度の概要は以下のとおりです。

  • [1]協議

    地方公共団体は、地方債を発行する場合には、都道府県・指定都市にあっては総務大臣、市町村・特別区等にあっては都道府県知事に協議しなければなりません。

  • [2]同意のある地方債に対する公的資金の充当

    地方公共団体は、協議において総務大臣又は都道府県知事が同意をした地方債についてのみ、公的資金を借り入れることができます。

  • [3]同意のある地方債の元利償還金の地方財政計画への算入

    総務大臣又は都道府県知事が同意をした地方債についてのみ、その元利償還金が、地方財政計画に算入されます。

  • [4]同意のない地方債を発行する場合の議会報告

    総務大臣又は都道府県知事の同意を得ないで、地方債を発行する場合には、地方公共団体の長は、あらかじめ議会に報告しなければなりません。

  • [5]同意基準及び地方債計画

    総務大臣は、毎年度、協議における同意基準及び地方債計画を作成し公表します。

    なお、協議制度に移行した後も、以下の地方公共団体については、例外的に国による関与の特例としての許可が行われます。

  • ■赤字団体、実質公債費比率の高い団体、赤字公営企業等

    →地方債を発行する場合には、総務大臣又は都道府県知事の許可を受けなければなりません。

  • ■標準税率未満団体

    →公共施設等の建設事業(地方財政法 第5条第5号)の経費の財源とする地方債を発行する場合には、総務大臣又は都道府県知事の許可を受けなければなりません。

地方債協議制度のしくみ

地方債協議制度のしくみ

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2)早期是正措置としての起債許可制度

地方債協議制度においては、地方債の信用維持等のため、「元利償還費」又は「決算収支の赤字」が一定水準以上となった地方公共団体は、地方債の発行に許可を要することとする等の早期是正措置を講じています。

 

■ 実質公債費比率が18%以上の地方公共団体は、許可が必要です。

→実質公債費比率が18%以上25%未満の団体は公債費負担適正化計画の内容及び実施状況に応じ、25%以上35%未満の団体は財政健全化計画の内容及び実施状況に応じ、それぞれ一般的な許可基準により許可をされます。(同意等基準)

 

■ 一定以上の実質赤字額を生じた地方公共団体は、許可が必要です。

→一定以上の実質赤字額とは、標準財政規模の額に応じ、段階的に設定され、標準財政規模500億円以上の地方公共団体は標準財政規模の40分の1、標準財政規模500億円未満200億円以上の地方公共団体は標準財政規模の額に1,000億円を加えた額の120分の1、標準財政規模200億円未満50億円以上の地方公共団体は標準財政規模に100億円を加えた額の30分の1、標準財政規模50億円未満の地方公共団体は標準財政規模の10分の1となります。(地方財政法施行令第22条)

実質公債費比率とは

公債費(地方債の元利償還金等)による財政負担の度合いを客観的に示す指標として、地方債の協議制度において許可団体への移行に係る基準に用いるものであり、その枠組みは地方財政法等に定められています。

具体的には、公債費相当額に充当された一般財源の額が標準財政規模(標準税率により算出された地方税に普通交付税等を加えた一般財源の規模)に占める割合を表すものです。

実質公債費比率が18%以上である団体の状況

都道府県 指定都市 市区町村 合計
H22決算 6/47 2/19 167/1,727 175/1,793
H23決算 7/47 1/19 106/1,723 114/1,789
H24決算 6/47 1/20 56/1,722 63/1,789
H25決算 4/47 1/20 36/1,721 41/1,788

※上段::実質公債費比率が18%以上である団体数

下段:全団体数

3)「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の施行

 財政指標の整備とその開示を徹底し、財政の早期健全化及び再生を図るための新たな制度として「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が成立しました(平成19年6月22日公布)。財政指標の公表については平成19年度決算から、財政健全化計画の策定の義務付け等については平成20年度決算から適用されます。

  この法律により、地方公共団体の債務を幅広くより的確に捉えた指標が公表され、財政全体のディスクロージャーが進みます。そして、①~④のいずれかの指標が早期健全化基準以上となった団体は自主的な改善努力による財政の早期健全化が行われ、①~③のいずれかの指標が財政再生基準以上となった団体は、地方債の償還を含め国等の関与による確実な財政の再生が行われます。

  なお、実質公債費比率が35%以上の団体等は、財政健全化法に基づく財政再生計画の策定が義務づけられ、当該計画について総務大臣の同意を得ない限り、地方債の発行が制限されます(災害復旧事業費の財源とする場合等を除く)。

 

〔早期健全化基準〕 〔財政再生基準〕
①実質公債費比率
・ 公債費及び公債費に準じた経費の比重を示す比率
都道府県:3.75%
市町村:財政規模に応じ11.25~15%
都道府県:5%
市町村:20%
②実質赤字比率
・ 一般会計等の実質赤字の比率
都道府県:8.75%
市町村:財政規模に応じ16.25~20%
都道府県:15%
市町村:30%
③連結実質赤字比率
・ すべての会計の実質赤字の比率
25% 35%
④将来負担比率
・ 地方債残高のほか一般会計等が将来負担すべき実質的な負債を捉えた比率
都道府県・指定都市:400%
市町村(指定都市を除く):350%
 
⑤資金不足比率
(公営企業ごと)
20%
〔経営健全化基準〕
 

 

 

地方公共団体の財政状況

健全化判断比率が早期健全化基準以上である団体数(平成27年11月30日総務省公表(確報))

  実質赤字比率 連結実質赤字比率 実質公債費比率 将来負担比率 合計 合計
(純計)
都道府県
(47団体)
0 0 0 0 0 0
(㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 )
政令市
(20団体)
0 0 0 0 0 0
(㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 )
市区
(793団体)
0 0 1 (1) 1 2 (1) 1 (1)
(㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 1(1)) (㉕ 1 ) (㉕ 2(1)) (㉕ 1(1))
町村
(928団体)
0 0 0 0 0 0
(㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 0 )
合計
(1,788団体)
0 0 1 (1) 1 2 (1) 1 (1)
(㉕ 0 ) (㉕ 0 ) (㉕ 1(1)) (㉕ 1 ) (㉕ 2(1)) (㉕ 1(1))

(注)1.( )内の数値は、財政再生基準以上である団体数であり、内数である。
   2.将来負担比率には、財政再生基準はない。

平成23年度に算定された実質公債費比率が早期健全化基準に該当する地方公共団体の今後の同比率の推移見込み
(平成21年度に策定した財政健全化計画に基づくもの)

平成23年度に算定された実質公債費比率が早期健全化基準に該当する地方公共団体の今後の同比率の推移見込み(平成21年度に策定した財政健全化計画に基づくもの)

地方債協議制度の見直し(届出制の導入)

○ 平成24年度から地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から、一定の要件を満たす地方公共団体が民間等資金債を発行する場合は、原則として協議を不要とし、事前届出のみで発行できることとされた。また、平成28年度から協議不要基準の緩和など、地方債制度の抜本的見直しが行われた。


1.協議不要対象団体

以下の①から④までの要件を満たす地方公共団体

  • ① 実質公債費比率が18%未満であること

  • ② 実質赤字額が0であること

  • ③ 連結実質赤字比率が0であること

  • ④ 将来負担比率が都道府県及び政令指定都市にあっては400%未満、一般市区町村にあっては350%未満であること

  • ※ 協議不要対象団体であっても、資金の不足額がある公営企業に係る民間等資金債を発行する場合は、協議をしなければならない。

  • ※ 平成28年度からは、公的資金を充当する地方債のうち特別転貸債及び国の予算等貸付金債について、新たに届出制の対象とされている。


2.地方財政計画、地方債計画

届出がされた地方債のうち協議を受けたならば同意をすると認められるものは、その元利償還金を地方財政計画に算入するとともに、その予定額を地方債計画に計上。

地方債協議制度のしくみ

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○届出実績・協議不要団体について
平成25年度
都道府県 指定都市 市区町村 合計
協議不要対象団体数 33/47 19/20 1,564/1,722 1,616/1,789
うち届出実施団体数 22/33 14/19 263/1,564 299/1,616

 

平成26年度
都道府県 指定都市 市区町村 合計
協議不要対象団体数 34/47 19/20 1,616/1,721 1,669/1,788
うち届出実施団体数 22/34 14/19 261/1,616 297/1,669