内容
コロナ禍からの経済正常化やロシアのウクライナ侵略による地政学的リスクの高まりを背景とした供給制約、賃金上昇、資源価格高騰などから、欧米主要国を中心にインフレ基調が急速に高まっており、欧米各国の中央銀行は金融政策を転換し、金融引締めに動いています。一方で、日本銀行は、安定的・持続的な形での物価安定目標の実現を目指し、イールドカーブ・コントロール(YCC)を柱とした緩和的な金融政策を維持しています。こうした中、我が国の地方債市場をみると、総じて底堅い投資家需要に支えられているものの、上昇基調にある海外金利の見通しや国内の金融政策変更への思惑の高まりなどによって不透明さを増す金利環境が嫌気され、市場の地合いは悪化してきており、一部の投資家においては債券投資に慎重な姿勢がうかがわれます。
このように金融市場における変化が地方債市場に波及しつつある状況において、将来想定しうる市場環境変化を見据え、足許から将来にかけての投資家動向を調査し、必要に応じて調達計画や発行手法の見直しを検討することは、今後の金利環境変化時の備えとなることに加え、地方団体の主要な資金調達手段のひとつである地方債を安定的に調達していくために重要な取組みであると考えられます。
令和4年度の調査研究委員会では、先行き不透明感が高まる局面で、現在および将来の投資家の動向にどのような変化が生じ、地方債市場がどのような対応を求められるのか等を調査・分析しました。そのうえで、想定される金利シナリオの分析も行いつつ、投資家動向の変化を地方団体がどのように受け止め、どのように起債運営に反映させていくべきかについても調査を行うとともに、今後の金利環境の変化を見据え、地方債の安定的な消化に向け地方団体が対応すべき事柄・留意点についてとりまとめを行い、所要の提言を行いました。
